過去のお知らせ <税一般>

【調停協会研修(2017.08.25)資料】遺産分割のやり直しと税務リスク
2017年09月01日

【事件の内容】
 AとBは、被相続人Cの遺産について、一旦協議による遺産分割を成立させ、その協議内容に沿って各相続人への遺産の移転(名義変更等)も完了した。
 ところがその後、Aが当初の遺産分割内容に疑義を抱き、Bに遺産分割協議のやり直しを申し出たところ、Bがそれを認めなかった為、AはBを相手取り、遺産分割調停を申し立てた。

【条項例】

  • 1. AとBは、被相続人C(平成○年○月○日死亡)の遺産についての平成×年×月×日付遺産分割協議書が合意により解除されたことを確認する。
  • 2. AとBは、被相続人Cの遺産につき、次のとおり分割する。
    • ① …
    • ② …

【税理士の視点】

  • 1. 当該遺産分割のやり直しは、「合意解除」なのか、「無効」なのか。
  • 2. 税務では「合意解除」の場合には、一旦適法に成立した合意とは別個の合意が発生したものとみなす。一方「無効」の場合には、そもそも当初の遺産分割協議の成立はなかったものとみなす。

【解説】
 今回の事例は、適法に成立した遺産分割協議書について、これを相続人全員の合意によって解除した場合を考えてみたいと思います。
 民法では、共同相続人はいつでも、その協議で遺産分割ができるとされています(民法907条①)。一方、税務では一旦有効に成立した遺産分割協議を合意解除し、再度遺産分割協議をやり直した場合、合意解除後に成立した遺産分割協議書については、遺産分割協議による取得ではなく、相続人間の譲渡、贈与、そして交換によって別個に資産が移転したと取扱われ、それによって新たな課税関係が発生したとみなされます(国税不服審判所 平成17.12.15裁決等多数)。
 以上を踏まえた、具体的な税目に関する税務リスクは次の通りです。

1. 相続税
 合意解除の場合の相続税申告については、そもそも課税標準や税額の計算が国税に関する法律の規定に違反していた訳ではないので、相続税額そのものは変わりません。つまり、合意解除の場合には、遺産の分割割合及び各相続人への帰属が変更されたにすぎず、相続税額の計算の基礎となる遺産総額、課税要件が変更されたわけではないからです。

2. 贈与税
 AとBは再遺産分割協議により、当初の遺産分割で取得した財産と異なる財産について、調停条項に記載された通りに再分割したとします。この再分割の実態は贈与、譲渡、そして交換に他なりません。この内、対価なく財産を取得、あるいはそれぞれの資産の時価評価額について差異がある場合の当該差額については、その経済実態は贈与と認定される可能性が高いでしょう。

3. 所得税
 例えば当初の遺産分割協議書では、Aが預金債権をBが不動産を取得するものとされていたとします。その後の合意解除とそれに続く再遺産分割協議によって、Aが不動産、Bが預金債権を取得する場合、Bは当該不動産を預金債権の価額で譲渡(売却)したことになり、資産の含み益についてBに譲渡所得税が課税されます。
 尚、相続を原因とする不動産の取得については、相続人が相続発生前から引き続き所有していたものとみなされるので(所得税法60条1項一)、Bの取得費は被相続人の取得費を引き継ぐことになり、譲渡所得が高額となるリスクに十分留意する必要があります。
 (参考)譲渡所得=総収入金額-(取得費(原価及び諸経費)+譲渡費用)

 ちなみに合意解除ではなく、当初の遺産分割協議書に無効原因が存在し、無効による遺産分割協議のやり直しを行った場合には、そもそも課税要件が変更されている場合があります。この場合には、当初確定した相続税申告書に記載した課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていないことになります。
 その際の税務手続きは、税額が減少する場合には「更正の請求」、税額が増加する場合には「修正申告」を行うことになります(国税通則法23条1項)。

【調停協会研修(2017.08.25)資料】】 従業員の不法行為における使用者責任と税務リスク
2017年08月25日

【事件の内容】
 B(Aの使用人兼務役員)は商品配送中の事故によりCに損害を与えた。当事者間の協議では当該損害額について折り合いがつかず、結局CはA(法人)とBを相手取り、民事調停を申し立てた。

【条項例】
1. A及びBは、連帯してCに対し、本件事故に基づく損害賠償債務として、金500万円の支払債務があることを認める。

【税理士の視点】

  • 1. 当該事故に関して、業務関連性の有無
  • 2. Bの故意又は重大な過失の有無
  • 3. 物損であればその対象物

【解説】
 Bが第三者に与えた損害について、Aが被害者へ損害賠償金を支出した場合における損金算入の可否の考え方及び課税関係は次のようになります。

1. 所得税法

  • (ア) 業務関連性があり、かつ、従業員に故意又は重大な過失がある場合で、法人が従業員等に給与として損害賠償金相当額を支給した場合には、当該給与は源泉所得税の対象。ちなみに社会保険料の対象でもあります。
  • (イ) 業務関連性がなければ、給与又は貸付金。
  • (ウ) いずれにしても所得税は累進課税なので、年間所得は要検討。

2. 法人税法

  • (ア) 業務関連性があれば、法人は勘定科目「雑損失」、「損害賠償金」又は「給与」として損金計上可。
  • (イ) 業務関連性がなければ、法人は勘定科目「給与」として損金計上可。
  • (ウ) 役員に給与として支給した場合には、役員給与の損金不算入規定(法人税等34条他)が適用され、原則として損金性は否認。

3. 消費税法
 損害賠償金として合意した場合、資産の譲渡等の対価ではない(対価性がない)ので、不課税取引。したがって、当該支出については仕入税額控除の計算対象外。
 しかし、例えばCの損害がCの所有する棚卸資産等であって、これをAが買取った場合等、一定の場合にはAにとって課税仕入れとなり、仕入税額控除適用の余地はあると思われる。

【総論】
 以上の課税関係を鑑みて、税理士としては不測の課税を回避するために、当該損害賠償金については可能な限りAからBへの貸付金にしませんか、という提案をすることになります。この提案の実行可能性については、まずAとBの関係性(要するにBがAにとっていかに必要な人材か、法人が損害賠償金を負担してまで雇用したい人材か)に尽きます。
 その一方、コンプライアンスの観点では、法人は日頃から各種の就業規則について、社会保険労務士等、人事や労働法規の専門家から助言を受けることも予防の観点から必要でしょう。なにかコトが起こる前に予防する、これも経営者の重要な責務なのではないでしょうか。

 ちなみに、Aが個人事業主である場合には、故意又は重大な過失の有無が問われるのはBではなく、原則としてAになります。これは経済活動については、法人と自然人とが明確に区別され、個人事業の場合はAとBとは一体として見做されるからだと考えられます。

(所得税法45①七、所得税法施行令98、法人税34他、法人税法基本通達9-7-16他)

国税庁公開資料「税務行政の将来像」について
2017年07月03日

 平成29年6月、国税庁は財務省設置法第19条の趣旨に則り、「税務行政の将来像」(以下、「将来像」)https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/syouraizou/index.htmを国税庁ホームページで公表しました。
 注目されるのは、人工知能(AI)を税務行政に積極的に活用することを宣言していること。「将来像」によると、AI導入で期待できる効果として、納税者利便性の向上と効率的な税務行政の実現を挙げています。
 前者については現在税務署に寄せられている納税者からの税に関する相談をAIで対応し職員の手間を減らす効果、後者については税務調査対象選定に関してAIの力を借りることによって「的外れ」を回避する効果が期待されているようです。税務調査については、調査対象の選定をAIに手伝わせ、それによって冤罪を掛けられた善良な納税者を守ることができるのであれば、税理士としても税務行政のAI化は歓迎すべきことです。

 以上は、税務行政の効率性向上を目指す行政サイドの話。当職はむしろ税務行政の効率化の先にある「税務行政特質論」解決の処方箋をAIが描いてくれることを期待しています。ここでいう税務行政特質論とは、「大量で反復的な課税処分を行うためには、形式的、画一的な処理が不可欠である」という「税務は他の役所に比べて仕事量がとんでもなく多いので、ある程度形式的、画一的な手続きで不利益処分を行ってもやむを得ない」という的な考え方のことです。
 この税務行政特質論が象徴的に表れる場面が、税務調査後に税務署によって行われる更正処分とその理由付記(例えば、税務調査の結果、納税者にとって追徴課税等の不利益処分がある場合、その理由の説明)でしょう。
 以前は税務行政の現場や裁判所でも税務行政特質論を受容していましたが、近年司法の場ではこの理屈が通用しなくなっています(一例として大阪高裁平成25年1月18日判決)。現在の裁判所は、税務当局が納税者の税務申告を否認するのであれば、それ相応の証拠力のある資料の提示、否認の判断基準を明らかにしてくださいね、ということです。裁判に耐えうるこれらの疎明には相応の時間と労力が必要となるので、この点税務行政のAI化は税務手続保障についても有力な味方になってくれるはずです(将来的にはAIが更正処分とその理由付記も担ってくれるかもしれません)。また、税務行政に対する批判ばかりでなく、その効率化については税理士、そして納税者も一市民の立場で電子申告等を積極的に活用し、共に効率性を求める姿勢も重要でしょう。

 当事務所の管轄税務官署である名護税務署は、内部事務処理の集中化施策の一環で多くの業務が沖縄北税務署に移管されました。そこで減った事務作業に費やしていたマンパワーを大口・悪質事案に対する深度ある税務調査等に振り向けること、税務調査に関する手続保障に費やすことは租税法律主義の観点でも好ましいことです。
 そしてこの取り組みは国税のみならず、地方税についても同様です。むしろ労働集約的な事務が行われている地方税(地方税はそのほとんどが国税の結果に税率を掛け算しているに過ぎない。)の方が効率化の余地が桁違いに大きい筈。地方税にかかわる職員はAIに代替し、その結果発生する事務系余剰人員は速やかに市民との対面が必要な福祉の現場、市民のニーズを足で探す御用聞き等に配置転換するべきです。そして納税者の代理人である税理士はその実行を税金の使い道の観点で監視する責務があるのです。

マイナンバーの提供を拒否されたら
2017年06月16日

 従業員やその親族のマイナンバー収集が容易なのに対し、支払調書に記載する会社外部の方からのマイナンバーの収集にはかなり苦戦されるようです。
 例えば、税理士、弁護士等に対する報酬、個人に原稿や講演を依頼したときの支払い等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円超、さらに個人に支払った不動産家賃については同様に15万円超と比較的少額でも支払調書の提出が義務付けられており、マイナンバーの記載も必要となります(所得税法225条、所得税法施行規則84条)。
 しかし、ご安心を。
 国税庁HP https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm(法定調書に関するFAQ)によれば、マイナンバーの提供を受けられない場合には、➀取引相手に法定調書へのマイナンバーの記載が法律で定められた義務であることを伝え、②それでも提供を受けられない場合には、提供を求めた経過等を記録、保存すればよいとのことです。要するに、事業主は➀を文書で行い、その文書をいつ、誰に渡したのか等の記録を保存すればよいことになります。
 当然ですが、マイナンバーの提供拒否は事業主に責任は及ばないこと。そして、マイナンバーの提供拒否によって生じる不利益についてはマイナンバーを提供する側の責任で負うことは言うまでもありません。マイナンバーは、事業主が取引相手から強制的に取得できる情報ではないため、事業主が過度な事務負担を負う必要はありません。

所得税確定申告お疲れ様でした。そして増加する社会保険料負担。
2017年03月18日

 当事務所でもようやく所得税の確定申告書作成業務が終わりました。あとは3月31日期限の消費税確定申告です。消費税確定申告に関しては、所得税の申告で確定した事業所得を基礎として消費税法の適用確認と計算が主になります。したがって、ご依頼人からの資料収集に追われる所得税確定申告に比べて少しですが気が楽な部分もあります。
 そこで、まだ所得税確定申告モードが残っている内に、今回の所得税確定申告業務を通じて気付いた「増加する社会保険料負担」について解説します。

1. 多額の社会保険料控除
 給与所得や事業所得等から差し引くことができる(所得控除)金額として「社会保険料控除」があります。社会保険料とは国民健康保険、国民年金、健康保険、厚生年金保険等になります。今回の所得税確定申告業務にあたってもこの社会保険料の重「料」感は相当なもので、社会保険料は計算パターンが多く一概には言えませんが、例えば所得金額が400万円の個人事業主で社会保険料が90万円を超えているというケースも珍しくありませんでした。
 ちなみに「料」と「税」のどこが異なるのかについては、所官庁や徴収に当たっての時効と差し押さえの優先順位が異なるくらいで、概ね同じ意味と言って良いでしょう。したがって、社会保険「料」は社会保険「税」なのです。

2. 節税ならそれは税理士の仕事
 税理士はご依頼人のために法の許容する範囲で節税をすることが使命の一つです。実際に当事務所の顧問先でも節社会保険税を通して事業の仕組みを再検討し、手元にお金が多く残るようになった方も数多くいらっしゃいます。
 節社会保険税で増加した手元資金を事業に再投資 → 売上が増加 → 所得税や法人税が増えることも実際にはあります。結果として事業が拡大すること、そして、そもそも所得税等の税率は社会保険税に比べて低いこともあり、節社会保険税が事業にとって有利であることには変わりありません。
 節社会保険税についてお悩みの方、社会保険料負担に問題意識を持たれている方は是非一度当事務所の「税務相談」をお受けください。消費税等の他の税金との兼ね合いを考慮しつつ、事業の仕組みの再検討(法人化等)も踏まえ、提携している社会保険労務士とともに無理のない節社会保険税の仕組みをご提案します。

地方税についてお困りの方も税理士へご相談ください
2016年10月14日

 地方税は所得税や相続税等の国税に比べて金額がそれほどでもないため、また役場に親戚や知り合いが勤めていると、例え課税処分に疑問があっても役場の税務課へ問い合わせるのは躊躇するといったことはないでしょうか。
 このような場合には税理士を代理人にして、役場の税務担当者から課税の根拠を説明させ、納得の上、申告、納税したいものです。ちなみに役場が課税権を行使する場合には、法律上の根拠を納税者に説明する義務があります。
 税理士が国税に関することについて、代理人として納税者の権利利益を守る役割があることは国民に広く浸透しています。しかし、住民税、事業税、都道府県民税、償却資産税、固定資産税等の地方税についても国税と理屈は同じであるということは案外知られていません【注】。
 その理由の一つとしては、冒頭で触れたように地方税は金額が比較的少額である場合が多いことから、我々税理士も積極的に地方税に取り組むことが難しいという現実問題があります。
 しかし新東京都知事の就任以降、都庁職員たちの無責任体質や組織としての体をなしていないという事実が露呈し、当職も地方自治体の税務を担う職員たちを監視するとともに、地方税に対する税務代理人としての姿勢を変えなければと反省しているところでもあります。
 国税に関わる税務署職員との比較になってしまいますが、地方自治体の税務担当者の住民を見下すお上意識、前例踏襲主義と不勉強、そして無責任体質を当職は日常的に懸念していました。例えば、顧問先に役場の税務担当者から頻繁に電話があり仕事に差し支えるため、顧問先が「税理士を代理人に選任しているので先生と直接話をしてください」と頼んでも、役場の税務担当者から「税理士ではなく本人と直接話をしたい」と言われた等のご相談が頻繁に寄せられます。このようなレベルの低いトラブルは税務署では到底考えられません。
 ちなみにこのような役場の無知に対する当事務所の対応としては、当該税務担当者の「上長」に直接電話をし、「法律(税理士法、民法の代理、委任の規定)をご存知ですか?」と優しく示唆してあげることにしています。

 役場の税務担当者から何の説明もなく一方的に申告書を書きなさい、納税しなさい等と迫られて、納得できずにお悩みの方はぜひ税理士の税務相談を受けてみてください。税理士はあなたの味方です

【注】
税理士法
(税理士の業務)
第二条  税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一  税務代理
二  税務書類の作成
三  税務相談

 税理士が取り扱う税は原則としてすべての税ですが、専門的な知識や判断を要しない特定の税や特定の地域だけを対象とする税については税理士業務の対象外です。具体的には、印紙税、登録免許税、自動車重量税、電源開発促進税、関税、とん税、特別とん税、狩猟税、法定外普通税、法定外目的税となります。

(税理士業務の制限)
第五十二条  税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

手当及び立替経費に関する経理事務について
2016年07月08日

 表題について、経理事務簡素化の流れもあり、手当として立替経費相当額を含めた金額を従業員等に支給する方法があります。このような経理事務は事務簡素化という利点の一方、税金及び社会保険料の観点から会社と従業員等の両方に不利になる場合があります。ここで今一度、手当及び立替経費を主に税務の観点から整理したいと思います。

1. 手当

  • (ア)従業員等に金銭的、身体的、精神的な負担をお願いする代償として、あるいは従業員等の個人的な努力によって取得した業務上有用な技能、資格等に対して、その努力に報いるために事業主が金銭的に報いるもの。
  • (イ)例えば、出張手当、危険手当、資格手当等。
  • (ウ)出張手当については、「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額(この範囲については、所得税法基本通達9-3《非課税とされる旅費の範囲》をご参照ください」は課税されません。
  • (エ)これらの手当の勘定科目は原則として給与に分類。
  • (オ)手当は原則として所得税、住民税、社会保険、労働保険の対象。例外としては(ウ)に挙げた出張手当があります。
  • (カ)消費税法上、手当は不課税取引であることに留意してください。例外は(ウ)の出張手当(その旅行について通常必要であると認められる部分の金額)です。所得税が非課税である出張手当の金額は、消費税法上課税仕入れに係る支払対価として扱います。この出張手当を経理仕訳で給与手当とした場合、多くの会計ソフトプログラムは不課税取引として仕訳します。この場合は仕訳毎にマニュアルで課税仕入に変更する必要があるでしょう。

2. 立替経費

  • (ア)業務遂行上必要なものなので、本来は会社が購入し従業員へ提供するものであるが、場所や時間的な理由から従業員が会社に代わって立替払いするもの。
  • (イ)例えば、電車代、タクシー代、現場消耗品の購入費、研修費等。
  • (ウ)月次等定期的に従業員に領収書を添付した立替経費精算書を提出させ、現金又は口座振り込みで精算。
  • (エ)勘定科目は旅費交通費や消耗品費等。
  • (オ)そもそも給与勘定を通らない、かつ、実質的に給与の性質を持たないので、所得税、住民税、社会保険料、労働保険料の対象となる余地はありません。

以上

領収書等のスキャナ保存についての留意点
2016年04月12日

 税務に関して実務上、今年(平成28年)1月1日から重要書類(すべての領収書、請求書等)と一般書類(見積書や注文書等、資金や物の流れに直結・連動しないもの)を、一定の要件のもとスキャナ保存することが認められています。読取装置にスマホ、デジカメ、ハンディスキャナは認められていませんが、制度の使い勝手は3万円未満の領収書等に限られていた以前の制度に比べて大幅に改善されました。

 PDF等の電子データに転換すれば、領収書の紛失や劣化が避けられるだけでなく、会計事務所に記帳代行を依頼している場合には書類を届けたり、郵送したりといった手間を省くことができるため、効率的な経理事務が可能となります。

 スキャナ保存制度を利用するための手続きは、「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」を所轄税務署に提出するだけですが、未だ一般的とは言えない「タイムスタンプ」がスキャナ保存に必須であることに注意が必要です。

 タイムスタンプとは、電子ファイルにタイムスタンプを付与することで、存在時刻(そのファイルがいつから存在しているのか)と非改ざん性(存在時刻から現在まで内容が変更されていないか)を証明する認証制度です。現時点ではタイムスタンプが一般に普及していないこともあって、全ての事業者が手軽に利用できるとは言えないでしょう。したがって、現時点でスキャナ保存制度を利用することができるのは、ペーパーレスで費用対効果を得ることができる一定規模以上の事業者に限定されるでしょう。

 かつて携帯電話も一般にとっては高根の花でしたが、その後は普及に伴い劇的にコストが下がりました。タイムスタンプについても当座は一定規模以上の事業者が利用する中でその利便性が一般に伝わり、利用コストが下がることを願ってやみません。

修正申告に係る加算税強化について
2016年01月17日

 平成28年度税制改正大綱に加算税制度の見直しが記載されました。

 国税に関する一般法である国税通則法には、加算税として過少申告加算税、不納付加算税、無申告加算税、重加算税が規定されており、今回の税制改正関連法案ではいずれについても改正が予定されています。

 ここでは、過少申告加算税について、その改正の背景と具体的な改正内容を解説します。

【改正の背景】
 近年税務調査に関する法律が整備され、税務当局に対する「税務調査の事前通知の義務化」が実現しました。税務調査はその運用によっては国民の財産権の侵害リスクを生じさせます(真面目に税務申告を行っているのに、突然税務調査官が自宅や事業所を訪れ、調査を始められたら納税者は困ってしまいます。ですので、原則として税務調査に着手する前に納税者本人、あるいは顧問税理士がいれば顧問税理士に調査の事前通知を行うことが平成25年1月1日以降に開始する調査から税務当局に義務付けられました。)ので、手続規定を法令で整備し、税務調査の運用に対する一定の歯止めをかけたことは納税者にとっては歓迎されることでしょう。

 一方、この「税務調査の事前通知の義務化」を利用して、事前通知日と調査着手日の間に修正申告書を提出し、過少申告加算税、つまり罰金を免除される事例が散見されるようになりました。現行法では税務調査着手前に自ら修正申告すれば過少申告加算税は課されないからです。

 カラクリはこうです。税務調査は必ずしもすべての申告に対して実施されるわけではない(ここがミソ!)ので、当初の申告では税額を故意に低く申告し、税務調査の事前通知があったら調査着手日までに修正申告書を提出し、その結果罰金が免除されるということ。これでは、当初の申告で正直に申告している納税者との平等性が保てないと言われても仕方ないでしょう。

【具体的な改正】
 そこで平成28年度税制改正大綱では、「事前通知後更正決定を予知する前にされた修正申告」について5%(期限内申告額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)と改正案が記載されました。つまり、事前通知日以降の修正申告による増差税額には、最低5%の過少申告加算税が課されることになる予定です。

 今回の改正案はすべての国税に適用され、とりわけ解釈や財産評価いかんで税額に大きな差が生じがちであり、また法人税や所得税と異なり一度の申告である相続税申告の際に注意が必要と考えられます。また、今回の加算税強化案は、相続税申告中の「名義預金」に関する申告漏れの多さが改正の引き金になったとする一部報道もあります。

 尚、上記の改正は税制改正関連法案が成立すれば、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

マイナンバー制度が本年10月1日から始まります
2015年04月01日

 マイナンバー制度が本年10月1日から始まります。
 https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/index.htm

 マイナンバーは、平成27年10月5日時点で住民票に記載されている住民に指定され、それ以降、市区町村から住民票の住所に簡易書留で郵送されます。
 税金に関するマイナンバーの利用については、例えば所得税の確定申告の場合、平成29年2~3月に行う平成28年分の確定申告からマイナンバーを記載することになります。
 また、源泉所得税関係では、「平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶、です)」からマイナンバーの記入が義務付けられます。

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