過去のお知らせ <相続・贈与>

【ご相談事例】誤解しがちな配偶者の税額の軽減(相続税)
2016年04月14日

 当事務所でご対応した配偶者の税額の軽減(相続税)に関する税務相談の実例をご紹介します。

【ご相談内容】
 家族は夫と子が一人。最近家族で相続について話し合っている。相続税の課税価格を計算したところ、相続財産が2億円程度あった。子は相続放棄すると言っている。知り合いに話をしたところ、妻である自分だけが相続する場合には相続税は納めなくても大丈夫、と聞いたが本当でしょうか??

【結論】
 子が相続放棄しても、その親(被相続人の配偶者)が「実際に相続する遺産」と税法上の「配偶者の法定相続分相当額」は異なります。このご相談の場合は、配偶者の法定相続分相当額(遺産の1/2)は変わらず、この金額で配偶者の税額軽減額を判定することになります(相続税法第19条の2第1項二イ)。

【解説】
 配偶者の税額の軽減とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度です。 

(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額 

 例えば、相続人が配偶者のみの場合、課税価格100億円の相続財産を相続しても100億円=(2)法定相続分相当額、であるため相続税はゼロとなります。ちなみに、この軽減措置を受けるためには、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書を原則として申告期限までに税務署に提出することが要件になります。

 配偶者が知らなかった法定相続人が他に居られる場合には相続計画が変わってしまう場合がありますので注意が必要です。また、認知されていない子は法定相続人ではありませんが、相続発生後にDNA鑑定で親子関係が証明された場合(死後認知)には相続人の地位を得ることになります。

相続空き家対策税制
2016年02月09日

 平成28年度税制改正大綱に相続空き家に対する政策税制が記載されました。総務省統計局によれば、平成25年の空き家率(空き家/総住宅数)は13.5%。その割合は統計開始以来右肩上がりで上昇しています。
 人口が増加している数少ない都道府県のうちの一つである沖縄でも、親から北部地域の実家を相続したものの、自分は那覇で勤務しているため放置せざるを得ず、現在空き家になって管理にも困っている、といったご相談をしばしばお受けします。
 また、既に施行されている固定資産税に関する「特定空き家」制度によって、固定資産税が最大6倍にもなるリスクも気になるところではないでしょうか。さらには、火災の発生や建物の倒壊、衛生面や景観面での悪化等、多岐にわたる問題が生じた場合に管理者責任を問われることも心配です。

 空き家についてはこのような悩みはあるものの、売却した場合、通常の譲渡所得税(多くの場合は売却価格の約20%)が課税され、現行の税制が相続空き家に対する有効活用の足かせになっていた感は否めませんでした。
 税制改正の施行時期、他の各種特例との選択適用又は重複適用の措置、適用要件を証明する添付書類の種類等々については現時点では詳細が明らかになっていませんが、平成28年度税制改正大綱の中で判明している点について解説したいと思います。

【改正案の要点】
 相続した被相続人の居住用不動産であった物件を譲渡した場合、「一定の場合」には3000万円の特別控除が適用できます。

【一定の場合とは】

  • ● 家屋
    • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物は除く)であること。
    • →かなり古い一戸建てということです。
  • ● 居住要件
    • 相続開始直前において被相続人の居住用であり、かつ、被相続人以外に居住していた者がいないこと。
    • →賃貸に出されていた物件は今回の改正から除かれるということです。
  • ● 譲渡時期
    • 相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
    • →早めの対策が必要です。
  • ● 対象となる譲渡
    • 1. 被相続人の居住用家屋の譲渡又は被相続人の居住用家屋及びその敷地の譲渡。相続発生時から譲渡時まで、事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと。譲渡時において、地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること。
      →空き家再生の場合はこのケースの譲渡に該当すると思われますが、耐震補強が必要なところが気にかかります。
    • 2. 被相続人の居住用家屋を除却した後におけるその敷地の譲渡。家屋は相続発生時から譲渡時まで、事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。
      →更地にしてからの譲渡です。現実問題としてこのケースが一番多くなるかもしれません。

 今回の税制改正によって空き家の売却による有効活用が進めば、新たなビジネスが発生する可能性もあります。当事務所の顧問先の皆様の中にも、沖縄で空き家を再生させ、移住される方に提供する事業を展開されている方もいらっしゃいます。また、当事務所が今春オープンを目指して準備中のカフェも空き家を再生しているものです!

 ご不明な点は最寄りの税務署又は税理士にご相談ください。

最近の「タワーマンション節税」報道について
2015年11月03日

 最近新聞等で税務当局が高層マンションの売買等を通じた過度な節税(いわゆるタワマン節税。税務上の資産評価額と実勢価格の差を利用した節税です。)を問題視し始めたという報道がされています。1年前に当職がタワマン節税のリスクについて事務所通信でお伝えしたところですが、近ごろ国税庁の監視強化事案として世間の注目を集めつつあるようです。しかし、タワマン節税を富裕層の特権として批判的に伝える報道、あるいは「行き過ぎた節税策と国税庁が判断すれば追徴課税される」等の税務の観点で誤解を招きかねない表現が散見されます。そこで、税理士としてタワマン節税の税務リスクを今一度整理してみましょう。

 まず、タワマン節税の基礎として理解すべきことは、タワマンに対する相続税法上の評価の原則は時価評価であること(相続税法22条)。そして、税務当局がタワマンの評価額を算出する場合は、「財産評価基本通達」に従うということです。つまり、現在のタワマン節税は、この税務当局内部の職務マニュアルである「財産評価基本通達」に準拠した評価方法なので、安全な節税方法としてこれだけ広く知られることになったといえるでしょう。

 では、何故今になってこのタワマン節税のリスクが取り沙汰されるようになったのかと申しますと、その理由はこの財産評価基本通達6「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」という規定にあります。タワマンの評価について、財産評価基本通達を使うと不都合だと国税庁が判断すれば、他の国税庁長官が決めた他の評価方法を適用します、と明確に通達に規定されているわけです。わかり易いですね。

 私たちが税金を考えるときに、まず理解しなければならないことがあります。それは、法律の根拠がなければ税金は課されないということです(租税法律主義)。そして、相続財産評価に関する法律は相続税法であり、財産評価基本通達は法律ではないことに留意しなければいけません。従いまして、税務当局がタワマン節税を問題視しているからと言って、タワマン節税が直ちに全て無効と言う理屈はないし、そもそも税務当局もそのようなことを意図しているとは考えられません。

 では、どのようなケースについて違法が疑われるタワマン節税となるのでしょうか。ちなみにこの場合の違法とは、相続税法22条すなわち税額算定の基礎となる時価評価に違法性が疑われるケースです。一例を挙げましょう。

***************************************************

 死期が近づいた人がタワーマンションの上層部を購入し、数日後に死亡。相続人は財産評価基本通達に準拠して 相続税評価額を計算し相続税申告書を提出した。実は被相続人の死後数日後に当該タワマンは他へ売却され、売却額 は相続人が受領した。被相続人の所有期間は僅かで、実際に部屋を使用することもなかった。 したがって、購入時と売却時の価格はほぼ同額であった

***************************************************

 上記の事例について、このタワマンに関する相続税法22条に規定する時価はいったいいくらだとみなさんは思われますか。どの時価が税法上の正義に適っていると思われますか。実際に被相続人が、「ワシは死ぬ前にタワマンの最上階に住むことが夢なのだ」と語っていた場合はどうでしょうか。相続人が相続税を捻出するためにやむなく被相続人死亡後タワマンを売却した場合はどうでしょうか。さらに、相続税を少なくするために全て仕組んだとしても、それをもって違法と言えるのか、つまり租税回避行為の是非という古くて新しい問題も勘案する必要があるのです。

  1年前の事務所通信にも書かせて頂きましたが、タワマンの購入に関しては業者の節税のうたい文句に踊らされることなく冷静に、居住用であれば本当に家族との生活がイメージできるのか、投資目的の場合は値崩れ等の市場リスクは大丈夫か、賃貸目的の場合は空室リスクをどう見込むのか、について十分に検討すべきです。個人的には本当に欲しいという意志(実需)で対応すべきだと思います。

名義預金にご注意を!
2015年07月06日

 当事務所が税務代理人として税務調査に関与する中で、名義預金が問題となるケースが多発しています。一般的に名義預金とは、形式的に家族等の名前で預金しているが、実質的にはそれ以外の真の所有者がいる、つまり家族等の名義を借りているのに過ぎない預金をいいます。

 相続税の調査で申告漏れとして問題となる価額の内、約3~4割は「現金・預金等」であり、中でも、被相続人(亡くなった方)が管理運用していた相続人(遺産をもらう方)名義の預貯金を相続財産として申告していなかったケースが多いそうです。

 相続人名義の預貯金が被相続人の相続財産に該当するか否かは、相続税法や通達でその判定基準や要件が規定されていません。したがいまして、過去の判例の積み重ねにより預貯金口座の管理・運用状況等を総合的に考慮して判定することが実務では定着しています。

  最近の判例として注目されるのが、東京地方裁判所が昨年4月25日に出した判決(平成25年(行ウ)第104号)です。結果は原告(納税者)の主張を棄却する旨の判断でした(納税者の負け)。判決文によれば、次の事実が認定の基準となったようです。

・口座開設の経緯
・口座開設の手続きを行った者
・通帳、証書、印鑑の保管場所等
・贈与契約書の有無
・被相続人が口座の解約金等を使用した事実の有無

 名義預金はそのほとんどが子や孫のためのもの。子や孫を想う折角の気持ちが、税金で台無しになっては元も子もありませんね。お心当たりのある方は、一度専門家にご相談することをお勧めします。

国税庁、「相続税の申告要否判定コーナー」開設
2015年05月22日

 法定相続人、相続財産の金額などを国税庁のホームページ上 https://www.keisan.nta.go.jp/sozoku/yohihantei/top#bsctrl
で入力することにより、相続税の申告のおおよその要否を判定するものです。相続財産等の入力では、土地、建物などの項目ごとに金額を入力するようになっており、操作も比較的分かり易くなっています。

相続税申告の実務では、相続税法で規定する不動産の「時価」評価が税額算定において重要なポイントになります。評価について判断に迷う場合は、専門家への相談をお勧めします。
  なお、相続税の特例を適用することにより相続税がかからない場合もあります。 相続税の主な特例としては、次の制度があります。

1 小規模宅地等の特例 
 被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等がある場合には、一定の要件の下に、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定割合を減額します。

2 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
 被相続人の配偶者の課税価格が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。

「税理士による安心生前贈与」サービス始めます
2014年09月12日

相続対策には、生前贈与が効果的です。 生前に財産を子や孫に贈与し、相続税の課税対象となる財産額が少くなると、相続税の負担が軽減されます。生前贈与を考えているけれど、どのような手続きをしたらいいのか・・・とお考えの方、ご相談ください。 詳しくは資料「税理士による安心生前贈与」をご覧ください(PDF)→ Newer Entries »