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税理士による地方自治体見張番 公開事例

太陽光発電設備に関する固定資産税申告慫慂の件
(金武町役場税務課)

【経緯】

 金武町役場税務課職員飯野某「償却資産申告書を書いてください。」、ご依頼人「なぜ課税されるのかその理由を教えてください。」、飯野某「とにかくそういう決まりなので。」。このようなやり取りが平成28年4月以降、電話で数回続いたらしく、困惑したご依頼人から当事務所に相談があった。

【当職の見解】

 課税は財産権を制限する行為であり、課税する側はその法的根拠を納税者に明示する義務がある(憲法84条)。一方、法律で定められた納税義務については、国民はそれを果たさなければならない(憲法30条)。したがって、課税する側は課税の必要(課税要件)があれば、その法的根拠を具体的な法律でもって納税者に示すことが課税手続における最低限の基礎となる。
 ご依頼人からのご相談を受けた当職が税務代理人として金武町役場税務課に上記の経緯を確認したところ、やはり当職に対してもご依頼人に対する対応と同様であった。事案を整理するため、当該部署の責任者である仲間某(職位は税務課課長、以下課長)に対して今までの経緯について事実確認をしたところ、「今詳しい者に説明させる。」といった意味と責任の所在がよく分からない発言があった(やり取りの結果、結局次週回答するということになった)。
 ちなみに行政手続法は、申告の慫慂(行政指導)をする場合にはしかるべき法令上の根拠を示さなければならない旨定めている(35条)。したがって仮に課税要件を満たしていたとしても、根拠を示さない行政指導はそれ自体が違法であり、行政の慎重性確保と恣意性排除という法の趣旨を逸脱していると言わざるを得ない。

(注)行政手続法は国の法律であるから、地方公共団体には直接その効力は及ばない。しかし、同法46条で地方公共団体には行政手続法を受けて「必要な措置」を条例として制定する努力義務を課している。この結果、これらの条例は多少の文言の相違はあるものの、基本的には行政手続法に準拠したものとなっている。金武町の関連条例も同様である。

【現在までの経過(順次追加予定)】

(平成28年10月13日)
> 前週当職から発せられた質問に対する課長からの回答

  1. 地方税法20条の11(官公署等への協力要請)に基づき内閣府沖縄総合事務局に問い合わせをしたところ、当該太陽光発電設備については事業用資産であると回答を得た。
  2. 地方税法353条(徴税吏員等の固定資産税に関する調査に係る質問検査権)に基づき沖縄電力㈱に納税者との売電契約を確認したところ、1の回答内容の課税要件が満たされると判断した。
  3. 地方税法341条四の課税要件が満たされるので申告書を作成して頂きたい。
  4. 「あなた(当職)の意見は関係ないので納税者と直接連絡を取る。」と発言。
  5. 「専門的な話は他に詳しい者がいる。」との理由で当職の質問を遮り、電話を回そうとした。

> 当職の応答

  1. 341条の四は償却資産につき「事業の用に供することができる資産」と規定している。同条における事業の定義、及び、当該太陽光発電設備が「事業の用に供することができる資産」であると事実認定した理由、及び適用した根拠条文等を示してください。
  2. 4について、発言の真意を確認するため「税理士法、民法の代理の規定をご存知ですか?」と質問したところ、無言…。
  3. 「見解の相違があるのであれば金武町は課税処分したらいかがですか。課税処分についてはその理由付記があるはずなので、それを精査した上で対応します。」と伝えた。
【対応】
  •  13日のやり取りを勘案して、翌日14日付で金武町長に対し次の情報について公開請求した。
    • ①金武町役場税務課が行った内閣府沖縄総合事務局への照会文書と同事務局からの回答文書。
    • ②償却資産税申告慫慂の根拠となった課税要件。

沖縄県北部土木事務所の建設業許可年度更新に関する事務対応

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