給与or外注の判断基準

 安倍政権は、「働き方改革」の一環として、正社員の副業や兼業導入を強力に後押ししています。今年1月に改正された厚生労働省の「モデル就業規則」でも、副業を原則禁止から原則容認に転換されました。
 ちなみに、正社員が一社だけにしか労働を提供できないとは、もともと法律に規定されているわけではなく、従業員の就業時間以外の時間を会社は拘束できない以上、就業に影響がなく、競業避止義務や秘密情報保護のルールを守れば従来でも正社員の副業や兼業は可能でした。つまり、従来は従業員が勝手に会社の意向を忖度して一社専従型になっていたに過ぎません。
 ともあれ、従業員の副業については、当事務所の顧問先でも動きが出てきました。特に今年になってからです。
 具体的には、顧問先事業所の従業員が副業を始めるケース、その逆で、顧問先事業所が副業をしている人と請負契約を結ぶケースがあります。今回は、後者について、請負先に支払う場合に外注費でよいのか、それともアルバイトのように給与なのか、判断に迷うケースが出てきています。判断基準のキーワードは「総合的勘案」(個別の内容ではなく、全体として労働者として働いているのか、それとも、請負人等として働いているのか)です。
 この判断基準については、法律に明確な定めがないため、当事務所では基本的に税務通達や判例及び裁決例、税務調査等を通じた経験(office experience)に依拠しています。しかし、税務専門家として個人的には、現政権が強い政策メッセージをこめて副業を推進している時代背景(いわば官製の社会通念変更)が重要な意味を持っていると考えています。
 次回から数回に分けてなるべく平易に「判断基準」を解説します。次回では「身代わりで大丈夫?基準」について解説します。