【ご相談事例】税務署から還付不可と指摘された

【ご相談内容】
 当社は資本金1000万円の合同会社です。設立第1期目の売上は800万円程、第2期目は850万円程度でした。消費税については、2期とも納税しています。
 先日、第3期目の消費税確定申告書を税務署に提出しました。第3期では沖縄振興開発金融公庫から資金を調達し、工場に新たな機械を導入しました。その結果、第3期確定申告では還付申告になりました。
 ところが昨日税務署から還付は不可と指摘されてしまいました。理由が理解できません。なにがいけなかったのか、そして今後どうすればよいのかをご教示ください。ちなみに税務署へは消費税関係の届出書、申請書は提出したことがありません。
 第4期目である今期も追加で機械を購入する予定です。これで漸くフル操業できる見通しなのですが…、消費税の事でノイローゼになりそうです。

【結論】

  • 1. 設立第1期目の売上高が1000万円未満のため、第3期目は免税事業者となり、今回のケースでは第3期目の消費税還付は不可です。
  • 2. 設立第2期目の売上高も1000万円未満ということですので、設立第4期目についても、第4期開始日前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署に提出していないため、仕入税額控除が預かり消費税以上であっても消費税還付は不可です。
  • 3. 上記2については、可能であるならばその機械の購入を第5期へ延期し、今期(第4期)末日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出することを検討してください。
  • 4. 上記3について、新設備購入の来期への延期が難しい場合には、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を税務署に提出し、次期課税期間を前倒しする方法についても検討の余地があるでしょう。

【解説】
 実は、今回の様なご相談は当事務所で年数回はお受けする内容です。
 設備投資に関わる消費税の還付不可事案の場合、損害額が数千万円にも及ぶ事例も少なくありません。消費税は、確定申告書作成自体が比較的簡単であるため、全体を甘く見てしまいがちなのですが、計算の背後にあるルールは複雑、かつ、遡っての修正不可、という点に留意が必要です。

 今回は、残念ながら消費税に関する典型的な失敗です。そして、この失敗を理解するキーワードは、「新設法人」と「消費税の新設法人」です。

 まず、「消費税の新設法人」とは、「基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1000万円以上である法人」です。つまり、新たに設立した法人が資本金1000万円以上=「消費税の新設法人」ということ。したがって、「新設法人」は、「消費税の新設法人」以外の法人ということになります。そして、「消費税の新設法人」の留意点は次になります。

  • ● 設立第1期、第2期目までは消費税の納税義務があるということ→第3期目以降は「新設法人」と同様。

 資本金1000万円以上で法人を設立すれば、設立初年度から消費税の納税義務があることはよく知られていることです。しかし、資本金1000万円以上の法人が、永遠に課税事業者であるとの誤解がこのご相談者の失敗の原因でした。
 つまり、3期目以降は「新設法人」と何ら変わりはなく、第3期目で消費税の還付をするのであれば、このご相談例では第1期目の課税売上高が1000万円以下だったので、消費税課税事業者選択届出書を第3期目の事業年度が開始する前日までに税務署に提出する必要がありました。

 このような失敗を回復する手段がないわけではありません。それは、「消費税課税期間特例選択届出書」を提出して、消費税の課税期間を最短で次月に変更し、当月末までに消費税課税事業者選択届出書を提出すれば、次月が「次期課税期間」となり、失敗のダメージを最小限にできる可能性があります。但し、そもそも当該課税資産を購入済みの場合には、課税期間特例を適用しても損害の回復はできません。
 尚、消費税課税期間特例を適用するとその後の様々な煩雑さ、消費税の資金繰りに与える影響(最短で毎月消費税を納税することになる)といった副作用が出ますので、適用に当たっては事前に税理士へのご相談をお勧めします。