過去の記事 <所得税>

【ご相談事例】不動産売買契約書が見つからない(3)
2019年08月19日

*ご相談の内容及び結論については、「不動産売買契約書が見つからない(1)及び(2)」をご参照ください。

【解説】
推計による取得費の具体例
1. 市街地価格指数
 「市街地価格指数」とは、一般財団法人日本不動産研究所が全国主要198都市で選定した「宅地」の調査地点について、同研究所の不動産鑑定士等が年2回価格調査を行い、これらを基に指数化したものです。当該指数は、同研究所のホームページから比較的安価、かつ、容易に取得可能です。http://www.reinet.or.jp/?page_id=168

 実務家の間では、取得費が不明な場合、市街地価格指数の使用を推奨する向きがあります。内容の詳細に触れることは割愛しますが、その根拠は国税不服審判所の裁決(平成12年11月16日)です。
 一方、市街地価格指数が取得費として認められなかった裁決もあります。例えば平成26年3月4日裁決では、請求棄却(納税者の負け)でした。

 勝敗の差はいったいどこにあるのでしょうか。
 それは、「取得に要した金額(所得税法33条)」の近似値が、「取得時の時価相当額(市街地価格指数)」であることの証明に成功した場合は勝ち、失敗した場合には負けてしまうようです。その証明に当たっては、税務署との争いのスタートが更正処分なのか、更正の請求によるものなのか、地目・地点の差異、取得時当時の価格変動率(ボラティリティ)等を総合的に評価、勘案する必要があるでしょう。
 したがって、市街地価格指数は不明取得費の推計方法として有効な手段ではあるものの、土地属性の差異という「運」の要素も相まって、一概に市街地価格指数が国税不服審判所、裁判所において取得費と認定されるとは言えないわけです。

 次回は、取得費近似値としての市街地価格指数を補強する具体的な数値、考え方について当職の私見をご紹介してまとめとします。

【ご相談事例】不動産売買契約書が見つからない(2)
2019年08月12日

*ご相談の内容及び結論については、前編「不動産売買契約書が見つからない(1)」をご参照ください。

【解説】
 所得税確定の時期によくある税務相談です。不動産の取得費が不明な方は、確定申告期限まで余裕をもって税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

 さて、具体的な推計方法の解説の前に、「そもそも取得費ってなんなの?」について、整理しましょう。
 所得税法では取得費を、資産の「取得に要した金額」と規定しています。実務的に「取得に要した金額」を証明するにあたっては、通常は買った時の領収書、不動産売買契約書を用います。つまり、あくまでも実務的に領収書等を用いているに過ぎず、「取得に要した金額」を客観的かつ合理的に証明できるのであれば他の方法でも構いません。
 しかし、一般の方が「取得に要した金額」を客観的かつ合理的に証明することは難しいため、領収書等を紛失してしまうと、確定申告の際に窮地に立たされることになります。

 ちなみに毎年確定申告時期になると、青色申告会から上記のような窮地に陥った相談者の紹介を受けます。青色申告会は、その名称の如く、「事業所得」における青色申告制度の普及、推進を目的とする納税者による会員組織です。したがって、不動産の売買に関する「譲渡所得」については射程外で、取扱ってくれたとしても、一般的かつ難易度の低い事案に留まることに留意してください。譲渡所得に関して「会費を払っているのにちゃんとやってくれなかった」という青色申告会に対するクレームは的外れということになります。
 また、税務署の職員による無料相談についても、一般的な税務手続き以上の回答を期待することはできません。節税指導は、税務署の義務ではないからです。

 次回では、具体的な推計方法として、「市街地価格指数」について解説します。

【ご相談事例】不動産売買契約書が見つからない(1)
2019年08月08日

【相談内容】
 15年前に恩納村の土地を購入しました。当面使う予定もないし、知り合いから譲ってほしいと言われています。ちなみに近所の不動産屋曰く「買ったときの倍の値段で売れる」そうです。
しかし、一つ問題があります。15年前購入した際の売買契約書や領収書など購入額を証明する書類を全て失くしてしまったのです。息子がこのようなケースについてネットで調べたところ、このようなケースでは売却価格の5%しか経費に認められないとのこと…。これでは税金が高くて売るに売れません。なにか良い方法はないでしょうか?

【結論】
1. 所得税法では不動産の売却益(譲渡所得)について、譲渡収入-(取得費+譲渡費用)と計算します。取得費、つまり購入代金がわからないと、譲渡収入の5%を取得費と見做します。
2. 上記では実際よりも多額の税金を負担するケースがあります。この場合には、取得費を裏付ける合理的な資料で取得費の「推計」を試みることになります。
3. この場合の推計とは、国税不服審判所の裁決例や裁判所の判例等を参考にしつつ、税務署による反論に耐えられる証拠を用意することです。

 次回以降は、具体的な推計の方法について解説していきます。

優遇される5,000万円医院・歯科医院(4)
2019年04月18日

 第4回目では最終回として、年間社会保険診療報酬が5,000万円を超えそうな場合の対応について解説したいと思います。

2. 概算経費特例使用に当たっての注意点(その2)
 概算経費特例は個人事業主の開業医にとって税務上大変有利な制度ですが、社会保険診療報酬が5,000万円を1円でも超えると使えません。
 ちなみに、平成25年度税制改正で概算経費特例適用要件が「医業(歯科医業)の事業所得の総収入金額が7,000万円以下の年分」に狭められました。自由診療報酬や物品販売収入も概算経費特例適用の算定基礎になったわけです。
 したがって、説明を簡略化するため、以下のシミュレーションは自由診療報酬等が2,000万円以下であることを前提とした概算とします。

● 社保報酬5,001万円の税引後所得シミュレーション

  • ・所得税、住民税、個人事業税を合わせた税率→50%
  • ・売上高事業所得率→50%
  • ・税額→5,001万円×50%×50%=1,250万円
  • ・税引後所得(手元に残ったお金)→5,001万円×50%-1,250万円=1,250万円

● 社保報酬5,000万円の税引後所得シミュレーション

  • ・概算経費額→5,000万円×57%+490万円=3,340万円
  • ・所得税、住民税、個人事業税を合わせた税率→40%
  • ・税額→(5,000万円-3,340万円)×40%=650万円
  • ・税引後所得(手元に残ったお金)→5,000万円×50%-650万円=1,850万円

● 差額600万円に相当する社保報酬

  • ・600÷50%÷50%=2,400万円

 したがって、上記の如く社保報酬が5,000万円を超えた場合には、概ね7,400万円の報酬を得なければ手元に残るお金は目減りすることになります。

 経営の観点では、毎年8月の終わり頃までに年間社保報酬を予想して、5,000万円を超えそうな場合には院長先生は次の行動をとることになります。

  • (ア) 学会出席、職員の研修、休暇等で休診し、5,000万円未満にとどめる。
  • (イ) 診療日及び診療時間、患者受け入れを増加させ、7,400万円以上を目指す。
  • (ウ) 成り行き任せ。

 具体的な対応の際には、患者、スタッフに対する影響を最小限に止める努力が必要でしょう。患者対応については他の診療所との連携や時期をずらした計画的な休診、スタッフ対応については休診時の所得補償や繁忙対策、手当支給が考えられます。いずれにしても(ウ)成り行き任せは避けたいところです。

 当事務所の関与先ご指導の基本方針は、5,001~7,400万円の着地を回避する長期戦略を持つこと。具体的には、スタッフ採用計画、診療所の多角化、予約診療制、先生の働き方改革と事業承継も含むご家族のライフプラン、設備投資計画の作成等によって中長期的な手元資金の最大化を図ることです。
 良質な医療を確保するためには掛け声だけでは不十分であり、医師、歯科医師、その他の医療従事者について、その職業に就く迄の投資回収も含めた十分な報酬が確保される必要があることは言うまでもありません。

優遇される5,000万円医院・歯科医院(3)
2019年03月27日

第3回、4回では概算経費特例を使用する際の注意点を解説します。

1. 概算経費特例使用に当たっての注意点(その1)
● 後出しじゃんけんは認められない。
 「後出しじゃんけん」の具体例は次のようなものです。
 医院の事務を担当している奥様が、租税特別措置法第26条を適用して事業所得の計算を行い、確定申告を提出期限までにしました。その後、税理士関与が始まり、過去の申告を確認したところ、概算経費より実額計算の必要経費の方が多くなることに気付きました。この場合、残念ながら実額計算による更正の請求、つまり税金の払い戻しはできません。
 また、上記と逆のケース。例えば医療関係の税務代理経験がない税理士が、措置法第26条の不知によって概算経費が有利であったにも拘わらず実額計算で申告してしまったケースです。この場合も法令上一旦確定申告が終了してしまえば、更正の請求不可=措置法第26条適用は不可、となってしまいます。
 この税理士による失敗については、「税理士職業賠償責任保険事故事例(税理士会)平成6年~平成19年掲載事例抜粋」で公開されており、所得税、住民税を合わせた約200万円の損害賠償額全額について保険支払の対象となりました。

 次回(4回目)は、概算経費特例使用に当たっての注意点(その2)として、年間社会保険診療報酬が5,000万円を超えそうな場合の考え方とその対策にふれ、一連の解説のまとめとします。

優遇される5,000万円医院・歯科医院(2)
2019年03月25日

 さて、前回に引き続き、概算経費特例の詳細についてご説明します。

1. 概算経費特例の節税効果
 条文では、社会保険診療報酬が2,500万円以下の部分は72%、2,500万円を超え3,000万円以下の部分は70%というように、段階的に定められた経費率を社会保険診療報酬に乗じる仕組みになっています。一般的には次の速算表によって概算経費額を知ることができます。
 要約すれば、社会保険診療報酬5,000万円までは経費率が約70%、仮に4,500万円の収入であれば経費は約3,200万円になります。

 概算経費特例と立法趣旨が同じような制度として、売上高が5,000万円以下の事業者に対する消費税の簡易課税制度があります。消費税の簡易課税制度とは、小規模事業者の消費税申告事務を簡便化するために、仕入れの都度消費税を別途計算することなく、業種ごとのみなし仕入れ率を使用して、納税すべき消費税額を計算できる制度。例えば、サービス業の場合、みなし仕入れ率は50%です。ちなみに、この簡易課税制度を巡っては会計検査院が平成24年に「益税」の問題を指摘しているところです。
 いずれにしても、仮に医院等の概算経費率をサービス業の50%と仮定し上記の条件に置き換えると、次のような計算が可能です。
 4,500万円×(70%-50%)=900万円
 仮に所得税、住民税、事業税を合わせた税率が50%として900万円×50%=450万円
 したがって、医院等は概算経費特例を利用するだけで毎年450万円が手元に残ることになります。概算経費特例が医院等の最大の節税アイテムと言われる所以です。そして、この資金を、医師等の技術の向上及び設備投資を通じた患者への還元、スタッフの処遇改善等に向けることが政策目的であることは言うまでもないでしょう。
 医院等は概算経費特例の制度趣旨を十分に理解し、概算経費特例を適用可能な医院等は積極的、かつ、計画的に当該制度を利用すべきです。

優遇される5,000万円医院・歯科医院(1)
2019年03月24日

 地方部では医療機関、医師不足と言われています。しかし、その真偽については、「医療サービスの質」の検証を抜きにして安易に判断することはできません。医療機関の数が多くても、患者がその質に満足していなければ、その地域外の医療機関を利用するでしょう。わかり易い例が、アジアの富裕層が高品質の日本の医療技術を求めて訪日する医療ツーリズムです。
 沖縄も例外ではありませんが、公共交通機関が脆弱=高齢者が自家用車で移動、という図式において患者の気持ちは、受診の満足度>移動の手間、であることが容易に想像できます。
 さて、ここ沖縄県北部地域においても医療機関不足が喧伝されていますが、単なる数の不足というよりは、「質の高い」医療機関の不足かもしれません。実際に当事務所の顧問先でも、高齢の医師や歯科医師が引退し、研究熱心な若手医師等が新規に医院等を開業し、今まで地域外に通院していた地域の患者さんが戻ってきた例は数多くあります。

 このような若手医師等の開業を政策的にバックアップする制度が、社会保険診療報酬の所得計算の特例、いわゆる概算経費特例です。
 その内容をざっくり説明すると、「医院、歯科医院の事業所得を計算する場合、年間の社会保険診療報酬の額が5,000万円以下の場合、概算経費特例(租税特別措置法第26条)により所得を計算することができる制度」です。なお、平成25年度の税制改正により、平成26年分以後の所得税については、医業及び歯科医業の収入金額(社会保険診療と自由診療の合計額)が7,000万円を超える場合には概算経費の適用は受けられないことになったことには注意が必要です。
 この医院、歯科医院への概算経費特例の使い方、留意点については次回以降にご説明します。

「給与所得者の配偶者控除等申告書」自動計算シート
2018年11月23日

 平成30年分年末調整で初登場の「給与所得者の配偶者控除等申告書」。多くの給与所得者(サラリーマン)にとっては記載に手間取ることと思います。
 しかし、国税庁がとっても便利な自動計算シート(Excel)を提供しています。http://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71_nyuryoku.htm
 このシートに金額や年齢等を入力すると、配偶者控除、配偶者特別控除適用の可否、可の場合はその控除額を計算してくれるので是非利用しましょう。

 このシートを利用するにあたっては、次の点を確認しましょう。特に、人間が「収入」と「所得」を区別できないと、Excelは正しく計算してくれませんのでご注意を。

1. そもそも提出不要な人

  • >独身者
  • >本人の給与「年収」が1,220万円超(「所得」に換算すると1,000万円超)
  • >配偶者の給与「年収」が201万6,000円以上(「所得」に換算すると123万円以上)

2. 給与所得者が、年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除を受けることを希望する場合に、本人の責任に基づいて、給与を支給している事業所に提出する書類であること。

3. 事業主に知られたくない「副業」や「所得」がある場合はこの申告書の提出自体を慎重に判断すること。ちなみに年末調整還付金を多く受けたいばかりに、副業や他の所得を記載しないでこの申告書を提出することは禁物です。

4. 偽りの記載に基づいて配偶者控除や配偶者特別控除を適用し、その後税務署で偽りが判明した場合(マイナンバーで偽りや誤りはすぐにバレます)には、事業主が年末調整をやり直すことになります。これによって事業主に迷惑をかけることになる他、副業やその他収入が事業主の知れるところとなります。

 尚、所得税確定申告代理を税理士に依頼される方で、年末調整の際に「給与所得者の配偶者控除等申告書」を事業所に提出されなかった方は、税理士が必要に応じて配偶者控除等を計算し、確定申告で所得から控除しますので安心してください。

【ご相談事例】青色申告承認申請却下?
2018年09月17日

【相談内容】
 先週税務顧問をお引き受けしたA様からのご相談です。ご当人の承諾を頂いたのでご紹介します。

 「私は3年前、住んでいたマンションの一室を転勤の為にやむなく賃貸に出し、賃料を得ています。
 昨年の6月に脱サラしてIT関連の仕事を個人事業で開始しました。開業届は6月中に税務署へ提出しました。今回の仕事については、事業という認識なので青色申告で行おうと思い、提出期限が事業開始後2か月以内ということから、7月最初の週に個人事業の青色申告承認申請書を税務署へ提出し、翌年の確定申告期間中に青色申告を済ませました。
 ところが税務署から昨年分の確定申告は白色であるとの指摘を受けました。新規開業から2か月以内に青色申告承認申請書を提出したのに納得できません。」

【結論】
 残念ながら昨年分は白色事業者でした。今後は当職が税務代理人になりますのでこのような行き違いは起こりません。ご安心を。

【解説】
 最初に青色申告承認の要件を確認します。
1. 原則
 新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。
2. 新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
 業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。

 今回のケースは、A様が上記2と判断したものです。しかし、実際は1であった為、昨年の確定申告は白色になってしまいました。原因は、「業務」です。

 意外なことですが、「業務」については所得税法上明確な規定はありません。この定義規定の不存在が、業務を巡っていくつかの混乱を招いているのも事実です。ちなみに実務では、「反復継続的に営利を目的として行われる行為(事業に至らない規模も含む)」として「業務」を定義づけることが一般的で、実際に当事務所でも「業務」に関する判断基準としてこの定義を採用しています。

 したがって、たとえ一室であっても、不動産貸付は不動産所得の基因となる「業務」に該当し、IT事業の開始は「業務の追加」であって新たに業務を開始したことにならないため、青色承認申請書の提出期限内に提出された申請書ではないことになります。

【ご相談事例】他人の借金を肩代わりしたうえ、税金を支払うの?
2018年09月15日

【相談内容】
 5年前に友人が金融機関から借入する際に連帯保証人になりました。その借入金の返済が滞り、私が連帯保証人として借金を返済する羽目になりました。返済のためには、私が所有する不動産を売却するしかありません。
 妻にも今回の件を知らせない訳にもいかないので話をしたところ、「税金は大丈夫なのでしょうね…」と言われ、役場の無料税金相談会へ赴きました。そこでは無料相談と言うこともあってか、課税の可能性があるかもと言われるだけで詳しい説明はいただけませんでした。連帯保証人としての責任を全うするために自分の資産を売却し、本当に税金を払う必要があるのか、理由も含めてご教示ください。

【結論】
 次の要件に全て当てはまれば税金は発生しません。

  • 1. 本来の債務者が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと。
  • 2. 保証債務を履行するために土地建物などを売っていること。
  • 3. 履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者から回収できなくなったこと。

【解説】
 保証債務を履行するために土地建物などを売った場合には、所得がなかったものとする特例があります(所得税法64条)。この場合の所得とは、次の三つのうち一番低い金額です(金額は例示)。

  • 1. 肩代りをした債務のうち、本来の債務者から回収できなくなった金額  1000万円
  • 2. 保証債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額  5000万円
  • 3. 売った土地建物などの譲渡益の額  3000万円

 債務者に代わって返済し、その債務者本人が仮に夜逃げして1000万円を踏み倒されたとしましょう。この場合には、保証した債務を肩代わり返済するため売却した土地建物の譲渡益3000万円から所得税法64条で所得と見做さない1000万円を差し引いた2000万円については課税対象所得となります。つまり、5000万円-1000万円=4000万円が保証債務を履行した人のその年の総所得金額となります。

 保証債務の特例については、計算自体は比較的簡単です。難しいのは本来の債務者から回収できないこと、専門的には求償権消滅の証明でしょう。この点、本来の債務者が自己破産している、失踪宣告を受けているのであれば問題なく回収不能と言えるでしょう。
 保証債務の特例を巡る国税不服審判所の裁決や裁判所の判例でも、その多くが求償権消滅の是非を巡る争いです。求償権消滅については、所得税基本通達である程度の目安が示されています。しかし、証拠集めの巧拙、客観性の確保が審判等での勝ち負けに直結することから、当職の経験では債務者の返済能力が不透明ならば、早めの弁護士への相談、裁判所での調停申立を検討された方が無難だと思います。

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