【ご相談事例】不動産売買契約書が見つからない(2)

*ご相談の内容及び結論については、前編「不動産売買契約書が見つからない(1)」をご参照ください。

【解説】
 所得税確定の時期によくある税務相談です。不動産の取得費が不明な方は、確定申告期限まで余裕をもって税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

 さて、具体的な推計方法の解説の前に、「そもそも取得費ってなんなの?」について、整理しましょう。
 所得税法では取得費を、資産の「取得に要した金額」と規定しています。実務的に「取得に要した金額」を証明するにあたっては、通常は買った時の領収書、不動産売買契約書を用います。つまり、あくまでも実務的に領収書等を用いているに過ぎず、「取得に要した金額」を客観的かつ合理的に証明できるのであれば他の方法でも構いません。
 しかし、一般の方が「取得に要した金額」を客観的かつ合理的に証明することは難しいため、領収書等を紛失してしまうと、確定申告の際に窮地に立たされることになります。

 ちなみに毎年確定申告時期になると、青色申告会から上記のような窮地に陥った相談者の紹介を受けます。青色申告会は、その名称の如く、「事業所得」における青色申告制度の普及、推進を目的とする納税者による会員組織です。したがって、不動産の売買に関する「譲渡所得」については射程外で、取扱ってくれたとしても、一般的かつ難易度の低い事案に留まることに留意してください。譲渡所得に関して「会費を払っているのにちゃんとやってくれなかった」という青色申告会に対するクレームは的外れということになります。
 また、税務署の職員による無料相談についても、一般的な税務手続き以上の回答を期待することはできません。節税指導は、税務署の義務ではないからです。

 次回では、具体的な推計方法として、「市街地価格指数」について解説します。