【ご相談事例】不動産売買契約書が見つからない(3)

*ご相談の内容及び結論については、「不動産売買契約書が見つからない(1)及び(2)」をご参照ください。

【解説】
推計による取得費の具体例
1. 市街地価格指数
 「市街地価格指数」とは、一般財団法人日本不動産研究所が全国主要198都市で選定した「宅地」の調査地点について、同研究所の不動産鑑定士等が年2回価格調査を行い、これらを基に指数化したものです。当該指数は、同研究所のホームページから比較的安価、かつ、容易に取得可能です。http://www.reinet.or.jp/?page_id=168

 実務家の間では、取得費が不明な場合、市街地価格指数の使用を推奨する向きがあります。内容の詳細に触れることは割愛しますが、その根拠は国税不服審判所の裁決(平成12年11月16日)です。
 一方、市街地価格指数が取得費として認められなかった裁決もあります。例えば平成26年3月4日裁決では、請求棄却(納税者の負け)でした。

 勝敗の差はいったいどこにあるのでしょうか。
 それは、「取得に要した金額(所得税法33条)」の近似値が、「取得時の時価相当額(市街地価格指数)」であることの証明に成功した場合は勝ち、失敗した場合には負けてしまうようです。その証明に当たっては、税務署との争いのスタートが更正処分なのか、更正の請求によるものなのか、地目・地点の差異、取得時当時の価格変動率(ボラティリティ)等を総合的に評価、勘案する必要があるでしょう。
 したがって、市街地価格指数は不明取得費の推計方法として有効な手段ではあるものの、土地属性の差異という「運」の要素も相まって、一概に市街地価格指数が国税不服審判所、裁判所において取得費と認定されるとは言えないわけです。

 次回は、取得費近似値としての市街地価格指数を補強する具体的な数値、考え方について当職の私見をご紹介してまとめとします。