【ご相談事例】共有名義の場合65万円 or 10万円?

【ご相談内容】
 兄と共有名義(50:50)で12室のワンルームマンションを貸付し、その不動産所得があります。それぞれが青色申告をしていますが、二人ともが65万円の青色申告特別控除を適用することはできるのでしょうか。

【結論】
 可能です。

【解説】
 ご相談の趣旨は、マンションを二人で共有している場合の「5棟10室基準」について部屋数を按分する必要の有無だと思われます。
 前回(3月26日付け最新のお知らせ)でご説明したように、租税特別措置法(第25条の2)では、65万円の青色申告特別控除の適用要件について次のように規定しています。

  • 1. 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者であること。
  • 2. 正規の簿記の原則に従い取引を記帳していること。
  • 3. 貸借対照表、損益計算書、その他の計算明細書等を添付し、所定の事項を記載した申告書を期限内に提出すること。

 確定申告については税務署の考えを「忖度(そんたく)」した処理が散見されますが、税金の計算に関しては法律から逸脱することはあり得ません。 65万円の青色申告特別控除の適用要件も税法に規定されている通り、これ以上でもこれ以下でもありません。
 もちろん、「各自の持分ごとに部屋数を判断」などと言ったことはどこにも書かれていません。また、条理(物事の道理)を考えても、共有にすることによって不動産貸付事業に関する帳簿作成の手間はかえって増えるでしょう。

 税務署には確定申告書を見直して、税金を多く支払っている納税者に連絡する義務はありません。したがって、実際のところ65万円控除が可能であるにも関わらず「各自の持分ごとに部屋数を判断」し、10万円控除を選択されている方は多くいらっしゃるようです。

 それでは過去に遡って訂正すること(更生の請求)は可能でしょうか。答えは「上記1~3の要件を満たしていれば可能」です。更正の請求は過去5年に遡って(原則として法定申告期限から5年以内)可能なので、最大275万円(「65万円-10万円」の5年分)の所得が減額される可能性があります。