過去のお知らせ <労務>

【ご相談事例】パートさんから給与格差について質問された
2018年10月26日

【相談内容】
 当社には正社員、パート、有期労働者がいて、気が付けば給与、手当、休暇等の処遇が従業員の雇用形態ごとにマチマチです。この点について、最近の同一労働同一賃金をはじめとする働き方改革の報道もあってか、パートさん何名かから正社員とパート及び有期労働者の給与格差について質問を受けています。
 この質問への対応も含めて、そちらの社労士さんに給与等の全体的な見直しをお願いしたいです。

【結論】
 承知しました。事業主様の立場で給与等の処遇改革をご提案します。
 ご提案の方向性としては、給与体系をシンプルにして、従業員に説明責任を果たすことがポイントです。例えば、通勤手当が正社員のみに支給されていても、その理由を合理的に説明できれば問題ありません。一方、昔から支給している特に意味のない手当、付与している休暇等合理的な説明ができないものは早急に改善する必要があります。

【解説】
 最高裁判決や同一労働同一賃金関連法により、パートや有期労働者と正社員との間で不合理な格差は許されないとされています。この点についてマスコミ、司法、行政、立法の見解が微妙に異なり、中小企業経営者が振り回されているのが現状なのではないでしょうか。

 根幹にある法の趣旨は、「パートや有期契約労働者であることを理由として、不合理な処遇格差はダメですよ」という、少し考えれば当たり前のことを確認しているに過ぎません。したがって、処遇格差がある会社は、ブラック企業のレッテルを張られるばかりでなく、争いになった場合に裁判、労働審判、行政ADRの場で厳しい立場に立たされるでしょう。

 しかし、「同じものは同じように、違うものは違うように扱う」というのが真の平等なのではないでしょうか。職務の内容、配置転換の範囲、転勤の有無、業績評価、能力、勤続年数等々の差異に基づき処遇にも差異を設けるのは当然であり、事業主の裁量の範囲であると当職は考えます。
 当然ですが、事業主と従業員では経営に対する立場が違います。したがって、従業員が完全に納得する説明はそもそも無理であり、納得させる義務も事業主にはありません。つまり、文書化も含めてこの事業主の裁量の中身を合理的に説明できるようにしておくことが肝になるのです。
 例えば、有期契約労働者の基本給が正社員の7割であったとします。この点について理由の説明を求められた場合、正社員には転勤の負担と実績があること、正社員はクレーム等が発生したら責任をもって対応する義務を負うこと、正社員には事業主の意向を忖度し行動する義務があり、この点が人事評価に影響を与えること、有期労働契約者については時給等賃金全体で調整を図っていること等を説明すれば良いでしょう。

【日本経済新聞記事】メールによる労働条件通知について
2018年10月11日

 日本経済新聞(2018.10.08)が労働条件の通知に関する法令の改正について、次のように報じています。
「厚生労働省は、労働条件の通知方法を電子メールなどでも可能にするよう2019年4月から省令を改正する」。

 わたなべ社労士事務所では、従来から顧問先の事業主様には、労働条件の通知書=労働契約書とご指導させていただいています。それは、給与、休日等基礎的な労働条件、あるいは個別の労働者に対して就業規則と比較して有利な労働条件の取決めについては、労使の「意思の合致」が必要という見解だからです。
 このような労使間の取決めは、一般的な商取引の際に取り交す契約と何ら変わるものではありません。したがって、メールでの労働条件通知については、意思の合致に関する証拠力が脆弱という判断のもと、当事務所では今後も「書面取交が労働契約締結の原則」、という立場を継続させて頂きます。

年金事務所の給与遡及減額指導に関する注意点
2018年01月29日

 昨今、社会保険料を滞納している事業主に対して、年金事務所が「給与を過去に遡って減額すれば社会保険料を減らすことが可能である」旨の助言?を行っているとの情報が当事務所に寄せられています。
 実際に支給された給与が過大であったのならば減額は当然の事ですが(正→正)、過去の社会保険料を減らすために偽って給与を減額するのであれば(正→誤)、事業主や給与受給者に予期せぬ税金を生じさせることになり、大問題です。
 年金事務所の助言?を鵜呑みにして、法人税等の修正申告をしないまま社会保険料の減額を行った結果、思わぬ追加税額が発生します。十分にご注意ください。

 社会保険料の事業主負担にお悩みの経営者の方は当事務所までご相談ください。

パート・アルバイト・嘱託・契約社員等に関する社会保険
2016年01月07日

 年末調整事務作業の中で事業主様からの社会保険に関するご相談が増加しています。特にパート、アルバイト、嘱託、契約社員等に関する社会保険の対象者についてのご相談が多いことから、この点を今一度整理したいと思います。

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1.健康保険(協会けんぽ等)・厚生年金保険の適用基準(3/4基準)
次の(ア)と(イ)の両方を満たす方は、パート、アルバイト、嘱託、契約社員等であっても原則として被保険者となります。つまり、次の2でご説明する「健康保険の被扶養者認定基準」はこの「適用基準」を満たした方は無関係となります。

  • (ア)1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上であること。
  • (イ)1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上であること。

ちなみに正社員が存在しない場合には、就業規則上の正社員の労働時間等、あるいは会社の就業時間等を目安にすれば問題ないでしょう。
具体的には、「正社員の1日の労働時間が8時間であれば3/4の6時間以上」と「正社員の1か月の労働日数が22日であれば3/4の16.5日以上」との両方を満たすと社会保険適用となります。但し、契約期間が2か月以内の方は社会保険に加入できません。

2. 健康保険の被扶養者認定基準

  • (ア)年間収入が130万円未満であること。
例えば配偶者が健康保険に加入している場合は次の通りです。

  • ・本人の年収が130万円未満 → 配偶者の健康保険の被扶養者
  • ・本人の年収が130万円以上 → 本人が国民健康保険に加入(配偶者の協会けんぽ等の被扶養者にはなれない。)

尚、扶養者がいない場合は「健康保険の被扶養者認定基準」は関係ありませんので、本人が国民健康保険に加入することになります。

【ご参考】平成28年10月以降、ご説明した1と2について次の変更があります。
被保険者数が501人以上の事業所に関しては、「一週間の所定労働時間が20時間以上であること」、「月額賃金が8.8万円(年収106万円)以上であること」、「1年以上の雇用見込みがあること」のいずれかに当てはまる方は原則として社会保険の対象者になります。
社会保険が充実されるのは歓迎ですが、その一方事業主様の負担が増えること、そしてパートさん等の手取り額が少なくなる場合があることにも十分留意する必要があるでしょう。

3. 介護保険
健康保険の被保険者に該当する40歳以上65歳未満の方は、介護保険第2号被保険者となります。

4. 労災保険
パート、アルバイト、嘱託、契約社員等すべての労働者に適用されます。但し、農林水産の一部事業や国家公務員・地方公務員の一部は除きます。保険料は、全額事業主の負担です。

5. 雇用保険
次の(ア)と(イ)の両方を満たす方は、パート、アルバイト、嘱託、契約社員等であっても被保険者となります。但し、65歳以後に雇用された方や昼間学生等の一部は除きます。

  • (ア)1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
  • (イ)31日以上雇用される見込みがあること。