当事務所が税務代理人として税務調査に関与する中で、名義預金が問題となるケースが多発しています。一般的に名義預金とは、形式的に家族等の名前で預金しているが、実質的にはそれ以外の真の所有者がいる、つまり家族等の名義を借りているのに過ぎない預金をいいます。
相続税の調査で申告漏れとして問題となる価額の内、約3~4割は「現金・預金等」であり、中でも、被相続人(亡くなった方)が管理運用していた相続人(遺産をもらう方)名義の預貯金を相続財産として申告していなかったケースが多いそうです。
相続人名義の預貯金が被相続人の相続財産に該当するか否かは、相続税法や通達でその判定基準や要件が規定されていません。したがいまして、過去の判例の積み重ねにより預貯金口座の管理・運用状況等を総合的に考慮して判定することが実務では定着しています。
最近の判例として注目されるのが、東京地方裁判所が昨年4月25日に出した判決(平成25年(行ウ)第104号)です。結果は原告(納税者)の主張を棄却する旨の判断でした(納税者の負け)。判決文によれば、次の事実が認定の基準となったようです。
・口座開設の経緯
・口座開設の手続きを行った者
・通帳、証書、印鑑の保管場所等
・贈与契約書の有無
・被相続人が口座の解約金等を使用した事実の有無
名義預金はそのほとんどが子や孫のためのもの。子や孫を想う折角の気持ちが、税金で台無しになっては元も子もありませんね。お心当たりのある方は、一度専門家にご相談することをお勧めします。