消費税確定申告の計算式は次のようにとってもシンプルです。
【お客様から預かった消費税-経費に支払った消費税=確定申告をして税務署に納める消費税】
例えば、パン屋さんが108円で販売した場合には8円が「お客様から預かった消費税」。一方、材料の仕入れやお店の光熱費等で54円を支払った場合には4円が「経費に支払った消費税」です。8円-4円=4円、この差額が「確定申告をして税務署に納める消費税」となります。
表面的にシンプルなものほど往々にして中身は複雑です。消費税にもそのような側面があると言えるでしょう。そもそも消費税に関してどのような法人や個人事業主が確定申告と納税の義務があるのでしょうか。消費税の納税義務がないとすれば、本来確定申告をして税務署に納めるべき消費税は誰のものになるのでしょうか。答えは「消費税を預かった法人や個人事業主のものとなる」です。これが消費税の益税問題です。
このような消費税の納税義務がない場合について、国税庁のホームページで次のように解説していますのでご紹介します(ここでは注釈等を省略しています)。納税義務の免除規定は中身が複雑な消費税の構造の中では、比較的単純な部品の一つと言えるでしょう。ご一読ください。
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消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。
この納税の義務が免除される事業者(以下「免税事業者」といいます。)となるか否かを判定する基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。なお、基準期間が1年でない法人の場合は、原則として、1年相当に換算した金額により判定することとされています。具体的には、基準期間中の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定します。
課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)です。
なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には、消費税が含まれていませんから、基準期間における課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。
新たに設立された法人については、設立1期目及び2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。
しかし、基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である場合や特定新規設立法人に該当する場合は、納税義務は免除されません。
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いかがでしたでしょうか。ほとんどの方が「内容は何となく理解できるけど、専門用語と、数字や計算が入ったらちんぷんかんぷん…」だと思います。でも心配しないでください。だから、我々税理士が皆様の合法的な節税のお手伝いをさせて頂くのです。
これから数回にわたって「消費税節税の基礎知識」をアップしていきますのでご期待ください。次回は「消費税の還付」についてです。次回までに次の宿題をしていただくと一層理解が深まるでしょう。
【宿題】
パン屋さんは、開業初年度だったのでいろいろお金がかかってしまい、決算をしたら次のようになりました。
- 売上2,160,000円
- 経費2,700,000円(仕入や光熱費等の消費税がかかっていたものだけ)
- パン製造設備の購入5,400,000円
パン屋のオーナーは思いました。「赤字だけど開業初年度としてはまずまずだな。味についてもお客さんからの評判は上々だし、次期以降は期待が持てそう。パン製造設備も公庫からの借入金で買えたので資金繰りも問題なし。気になる消費税についても開業後2年間は面倒くさい確定申告も免除だってネットでみたし…、ラッキーだな~」
本当にそうでしょうか。