政府は相続税回避行為の対策として、2018年度税制改正でいわゆる「家なき子成り」による相続税の節税も封じる方針のようです。
「家なき子成り」とは、「亡くなった方(被相続人)と別居していて、かつ、3年以上自分の持ち家に住んでいない親族」に成ることです。小規模宅地特例の適用要件の一つとして、対象の相続人が「家なき子」である必要があるため、自分(相続人)の住宅を子らに生前贈与し、「家なき子」と成るスキームが相続税回避行為として問題視されてきました。
小規模宅地特例については、土地の評価額を330㎡まで8割引するという節税効果が極めて高い特例です。この制度はそもそも「持ち家を持たない相続人が相続を機会に自宅を所有することになった場合にまで課税するのは酷ですね…」という立法趣旨であるため、実質的に持ち家を所有している人(担税力のある人)が特例を利用するのは公平の観点で問題ありというもの。
11月30日付の日本経済新聞の記事によれば、相続時に住んでいる家がもともとは自分で所有していたものであったり、3親等内の親族が所有する家に住んでいたりする場合は特例の適用対象外とする案が有力なようです。
しかし、他の方法で「家なき子」に成る方法も有りそうですので、税務当局とのいたちごっこはまだ続くのかもしれません。