給与or外注について、4つの判断基準を解説します。判例や裁決例を検討すると、これら4つの基準を総合的に勘案して事実認定していることが伺えます。最初は「身代わりで大丈夫?基準」です。
例えば、請負契約を締結して役務を提供していたところ、病気によってしばらく仕事ができなくなった場合、他の人が代わりに契約を遂行できるか、です。具体的には、税理士資格を有するAさんがある会社で役務又は労務を提供していましたが、病気になり出社できなくなりました。この人が代わりのBさん(税理士有資格者)を連れてきて、病欠の間仕事を代わってもらうことを請負元に申し出たとしましょう。
この申し出が受け入れられる場合には、外注の可能性が高いことになります。一方、そのようなことが許されない場合(通常会社員が休暇を取り、社外の人がその方の代わりに働くことは一般常識で考えられません)には給与の可能性が高いでしょう。
さて、この点について、電力会社の検針員を巡っての判例をご紹介します(福岡高裁昭和63年11月22日判決)。この裁判では検針員と電力会社との契約が雇用(給与)か請負(外注)かが争われました。
裁判所の判断は請負でした。その理由は、第三者の代行が禁止されておらず、また、当該検針員は兼業も自由であったことのようです。電力会社の制服を着用しており、外形は電力会社の社員に見えても役務契約の観点では会社の従業員ではないということです。
国税不服審判所の裁決例でも、給与or外注の判断基準の一つとして、そのほとんどが役務又は労務の代替性に言及しています。