地方税は所得税や相続税等の国税に比べて金額がそれほどでもないため、また役場に親戚や知り合いが勤めていると、例え課税処分に疑問があっても役場の税務課へ問い合わせるのは躊躇するといったことはないでしょうか。
このような場合には税理士を代理人にして、役場の税務担当者から課税の根拠を説明させ、納得の上、申告、納税したいものです。ちなみに役場が課税権を行使する場合には、法律上の根拠を納税者に説明する義務があります。
税理士が国税に関することについて、代理人として納税者の権利利益を守る役割があることは国民に広く浸透しています。しかし、住民税、事業税、都道府県民税、償却資産税、固定資産税等の地方税についても国税と理屈は同じであるということは案外知られていません【注】。
その理由の一つとしては、冒頭で触れたように地方税は金額が比較的少額である場合が多いことから、我々税理士も積極的に地方税に取り組むことが難しいという現実問題があります。
しかし新東京都知事の就任以降、都庁職員たちの無責任体質や組織としての体をなしていないという事実が露呈し、当職も地方自治体の税務を担う職員たちを監視するとともに、地方税に対する税務代理人としての姿勢を変えなければと反省しているところでもあります。
国税に関わる税務署職員との比較になってしまいますが、地方自治体の税務担当者の住民を見下すお上意識、前例踏襲主義と不勉強、そして無責任体質を当職は日常的に懸念していました。例えば、顧問先に役場の税務担当者から頻繁に電話があり仕事に差し支えるため、顧問先が「税理士を代理人に選任しているので先生と直接話をしてください」と頼んでも、役場の税務担当者から「税理士ではなく本人と直接話をしたい」と言われた等のご相談が頻繁に寄せられます。このようなレベルの低いトラブルは税務署では到底考えられません。
ちなみにこのような役場の無知に対する当事務所の対応としては、当該税務担当者の「上長」に直接電話をし、「法律(税理士法、民法の代理、委任の規定)をご存知ですか?」と優しく示唆してあげることにしています。
役場の税務担当者から何の説明もなく一方的に申告書を書きなさい、納税しなさい等と迫られて、納得できずにお悩みの方はぜひ税理士の税務相談を受けてみてください。税理士はあなたの味方です
【注】
税理士法
(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理
二 税務書類の作成
三 税務相談
税理士が取り扱う税は原則としてすべての税ですが、専門的な知識や判断を要しない特定の税や特定の地域だけを対象とする税については税理士業務の対象外です。具体的には、印紙税、登録免許税、自動車重量税、電源開発促進税、関税、とん税、特別とん税、狩猟税、法定外普通税、法定外目的税となります。
(税理士業務の制限)
第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。