土地の貸付けは消費税の課税対象となりません(非課税取引)。一方、建物の貸付けの場合は消費税が課税されます(課税取引)。それでは建物付き土地の貸付けは非課税取引でしょうか、課税取引でしょうか。答えは課税取引です。この場合、賃料を土地部分と建物部分とに区分している場合であっても、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱うことになります。
それでは社長所有の不動産を自分が所有する法人に貸付けるとしましょう。書類だけ作ればOK!と考え、安易にネットから契約書の雛形をダウンロードして使用したということはありませんか。個人が免税事業者で法人が課税事業者の場合には、個人と法人の消費税額の合計が建物賃貸借契約と土地賃貸借契約とでは異なります。それが、下記に示した消費税の▲74,074円です。
上記2の場合、▲74,074円は法人が納税する消費税から引き算されます。つまり、法人の事業全体から計算された納税すべき消費税から74,074円を控除(仕入税額控除)することかできるわけです。
もちろん税金を安くしたいという理由で書類(法形式)だけを整えれば良いのではなく、実態がどうであるかを契約に反映させるのは当然のことですが、土地に建物を建てるかどうかという意思決定に消費税法が影響を与える面があることは否めないでしょう。
例えば、社長個人が所有する遊休地を法人に資材置き場として貸そうとするにあたっては、建物内にその資材を置くのか、雨ざらしにするのかについては、その資材の種類、使途、価値、さらに建物の建設費を熟慮して判断するに違いありません。この判断をするときに経営者には税金費用のことも是非考えて頂きたいのです。
このように、経営の意思決定に税金が関係する場面は多くあります。金額の大きい買い物や投資をする場合には、専門家への事前相談が大切となるでしょう。
【参考法令等】
消費税法施行令
(土地の貸付けから除外される場合)
第八条 法別表第一第一号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合とする。
消費税法基本通達
(土地付建物等の貸付け)
6-1-5 令第8条《土地の貸付けから除外される場合》の規定により、施設の利用に伴って土地が使用される場合のその土地を使用させる行為は土地の貸付けから除かれるから、例えば、建物、野球場、プール又はテニスコート等の施設の利用が土地の使用を伴うことになるとしても、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれないことに留意する。
(注)
1 事業者が駐車場又は駐輪場として土地を利用させた場合において、その土地につき駐車場又は駐輪場としての用途に応じる地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置等をしていないとき(駐車又は駐輪に係る車両又は自転車の管理をしている場合を除く。)は、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれる。
2 建物その他の施設の貸付け又は役務の提供(以下6-1-5において「建物の貸付け等」という。)に伴って土地を使用させた場合において、建物の貸付け等に係る対価と土地の貸付けに係る対価とに区分しているときであっても、その対価の額の合計額が当該建物の貸付け等に係る対価の額となることに留意する。