日本経済新聞(2015年10月15日朝刊)によると、10%消費増税時(2017年4月)に食料品に対して軽減税率が適用され、「簡易税額票」が導入されることを政府・与党が検討しているそうです。
税の実務家の間では当初から「簡易税額票」方式が有力案とされていたと思います。このタイミングでの報道は年末の「税制改正大綱」に記載する前振りであることが多いことから、事業者も簡易税額票方式の線で事務の準備を開始すべきでしょう。
簡易税額票方式を簡単に説明すると、「仕入税額控除(事業者がお客様からお預かりした消費税を税務署に納税する際に、事業者側で引き算できる消費税額のこと)」したいのなら、引き算の証明書として業者が発行した請求書(税額票)を持っていてね」ということです。
今後の議論の行方について注視しなければならないことは、簡易税額票の内容です。どの程度細かなものになるのか、領収書での代用が認められるのか等々。いずれにしましても、今後は消費税の税務調査の際に、税務調査官から簡易税額票原本の提示を求められることは必須でしょう。なぜならば、簡易税額表の確認をしないと、どの仕入税額控除(引き算)が軽減税率の対象で、どれが対象でないのかが確認できないからです。極端な例では、全部の仕入を10%にして、お客様からお預かりした消費税は軽減税率対象商品(例えば7%)とすれば、引き算が多過ぎで結果として納税額が減ることになるからです。
当事務所では、今後も消費税軽減税率に関する実務についてタイムリーに解説し、そして関与先の皆様には優しく(笑)ご指導させていただきます。