【お詫び】
「不動産売買契約書が見つからない(3)」以降、2か月も経過してしまいました。
理由(言い訳)の一つとして、消費税率引上げ、軽減税率導入関連の経営コンサルティング(価格戦略)のご依頼が想定外に多かったことが挙げられます。経営者の皆様にとっては、10月1日が商品、サービス価格見直しの好機だったようです。
価格戦略を経営者の皆様と検討する中で当職が得た感想は、人手不足や仕入価格高騰等ネガティブな要因もあるものの、「沖縄経営者のマインドは非常に積極的」だということでした。これからも一緒に頑張りましょう。
【前回からの続き】
前回(3)迄は、不動産売買契約書を紛失する等、取得費の証拠不備のために概算取得費(5%)の適用が避けられないとすると、納税者は書類の紛失に対して重いペナルティを負う可能性が有ることを説明しました。
そして、証拠紛失の場合、それに代わる証拠として市街地価格指数の利用が有効な場合がある旨ご紹介しました。
さて、裁決例等を精査してみると、勝敗を分ける要因としては複数の証拠をそれぞれ有機的に関連付けて取得費を証明することが不可欠であることがわかります。したがって、市街地価格指数は証拠の一つに過ぎない(それだけでは十分ではない)ことを認識すべきです。
具体的で合理的な取得費の立証方法としては、登記簿謄本等に記載された債権額、前所有者への照会、取得当時の預金通帳等、取得価額を裏付ける資料を検証すること。なかでも前取引が不動産業者の仲介で行われた場合には、その業者への照会で土地台帳等の資料を得ることができる場合があります。さらに、法務局、市町村にある資料の収集と分析、現地調査、路線価の基礎計算式の分析等を有機的に関連付けて取得費を立証する必要があることが伺えます。
最終的には専門家へ支払う費用との兼ね合いになるかと思いますが、追加の税額が多額になってしまう時には上記を専門家に依頼する必要があるでしょう。
しかし、確定申告書作成はどの税理士でも引き受けますが、残念なことに確定申告書の基になる数字の立証に対応できる税理士は非常に少ないのが実情です。
資産をお持ちの方、事業を営まれている方におかれましては、日頃から高難易度案件に対応できる税理士との関係づくりも重要になってくるでしょう。